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「いくじなし!」と吉田羊に罵られても良い?電力自由化における電力会社乗り換え

投稿日:2016年3月31日 更新日:

 

本格的な電力自由化が明日スタート!

「いくじなし!」 女優、吉田羊さんが男に向かって何度も言うテレビCMが注目を集めている。このCMは、JXエネが4月から新規で提供する家庭用電力サービス「ENEOS(エネオス)でんき」を紹介するもの。 吉田さん扮する彼女の自宅アパート前に停車した車の中で、男とエネオスでんきについて会話。助手席の吉田さんが「替えるのエネオスでんきに?」と運転席の男に聞くと「ちょっと様子を見ようと思って」と返答。すると、吉田さんは「いくじなし!」と強烈な一言。うやむやな態度を許さない吉田さんは、下りた車のドアをバーンと強く閉める。

そもそも電力自由化とは?
明日、2016年4月1日から実施される電力小売の全面自由化。そもそも電力自由化とは何なのか。

自分自身が使う電力をどこから買うか、自由に選べるようになる電力自由化

「電力自由化」という言葉。「自由化」というキーワードに興味があっても、自分自身にどう関係があるのか、イマイチよくわからない人も多いかもしれない。

電力自由化とは、一般家庭向けの電力小売が全面自由化される、電力システム改革のことで、これまで一般家庭で使用する電力は、東京電力、関西電力、九州電力など、国が定める10社の一般電気事業者が地域ごとに独占して供給・販売をしていた。電気事業法による参入規制により地域独占が認められていたわけであるが、規制緩和が行われる2016年4月からは、一般家庭を含めたすべての利用者に対して、さまざまな会社が電力を販売できるようになる。 つまり、自分自身が使う電力をどこから買うか、自由に選べるようになる。すでに多くの企業が各地で新電力会社(以下、新電力)として名乗りをあげている(経済産業省への登録申請、審査通過は必要)。この電力自由化の目的は「電力の安定供給の確保」「電気料金の最大限の抑制」「電気利用者の選択肢や企業の事業機会の拡大」の3つと言われている。ただ電力の購入先が選択可能になるだけではなく、競争が発生することにより電気料金が抑制されることなども期待されている。これらの目的が電力自由化によって達成可能かどうかについてはここでは触れない。

既に電力自由化は始まっていた!?

電力自由化は、実は2016年4月に突然スタートするわけではない。国は必要な電力量に応じて使用者をいくつかに分類している。今回開放される部分は一般家庭の「電灯」、コンビニエンスストアのような小規模商店の「低圧」という区分で、中小ビルや中小規模工場の「高圧」、大規模工場やデパート/オフィスビル、場合によってはマンションといった「特別高圧」の契約者に対しては、先行して電力の小売が自由化されていた。このような電力の自由化は「特別高圧」では2000年から、「高圧」では2004年から2005年にかけて自由化され、新規参入した電力会社である新電力各社からすでに購入可能となっていた。 2016年4月から電気の小売業は全面的に自由化され、これまで選択不可能だった一般家庭や小規模商店でも、自由に電力会社を選ぶことが可能になる。もちろん、東京電力や関西電力といったこれまでの電力会社もこれまで通りに電気の供給を続けるが、それ以外にも各種業界からの参入が想定されている。 元の業種は総合商社やガス会社、通信会社、不動産会社など多岐に渡り、住んでいる地域以外の電力会社から電気を買うことも可能になる。

電力供給が不安定になり、停電することはある?

ここで気になるのは、電力自由化が実施されると停電が多くなったり、契約先によって電力供給が不安定になったりするのではないかという点であるが、そうした問題は起こらないと言われている。

新電力が倒産や撤退した場合、どうなる?

契約した新電力が突然倒産、撤退した場合であっても、電気の供給を受けられない期間が発生しないよう、電気供給を行うことが電力会社に義務づけられているので、停電が発生することはないと言われている。

マンションやアパートに住んでいる場合は?

住宅の形態にかかわらず、各家庭が個別に電力会社と契約しているのであれば、新電力と自由に契約することができる。 ただし、管理組合などを通じてマンション全体で一括契約(高圧一括受電契約)を行っているケースでは対応が異なるため、この場合は住んでいるマンションの管理組合などに確認する必要がある。

電力自由化のデメリット
メリットばかりではなく、デメリットもある。

デメリット1 電気料金が値上がりする可能性もある

電力自由化は、メリットばかりではない。これまでの電気料金は政府の認可制ということもあって、急激な値上がりとならないよう規制されていた。しかし、電気料金の価格設定が自由化されて競争が発生するということは、値下がりだけではなく、逆に値上がりする可能性もある。 先行して電力自由化が進んだイギリスやドイツといった海外各国では、実際に電気料金が値上がりした事例もある。燃料費の高騰や天候の影響などが大きな原因となったようだが、電力自由化により、電気料金は市場における需要と供給の関係で決まることになるので、単純に「競争の発生」=「値下げ」というわけではない。

デメリット2 丁寧に調べる必要が出てくる

何も考えずに契約して使うだけでよく、そこに損得勘定は不要だった。若い方はわからないであろうが、昔の電話のようなものだ。ところが、電力自由化により、多くの新電力が参入して選択可能な状況になると、積極的に乗り換えようとすれば、各社が提供しているサービスや料金メニューを自発的に調べ、比較・検討する必要が出てくる。 電気料金はもちろん気になるところだが、電気は生活インフラとして非常に重要なものなので、それ以外にも顧客対応等、総合的な観点で選ぶことが必要となる(これはデメリットと言えないかもしれないが)

電力会社を乗り換えるのに知っておきたいポイント

まだ、口コミや体験レポートもなく、一人一人が未知なる選択を迫られる新電力選び。供給される「電気の質」に”差”がない中、何を基準に選ぶべきなのか?

ポイント1 新規参入組の「強みと弱み」を体系的に把握する

新電力は誰もが知る企業から、世間的には全く無名なところまで実に多彩である。何の予備知識も持たず、自分に最もお得な会社とサービスを選ぶのは難しい。まず肝心なのは、業種ごとの強みと弱みを把握することであろう。大手電力を除く新電力の業態は、主に通信系、ガス・ガソリン系、小売り・サービス系、新興・地域系の4つのカテゴリーに分けられる。本業で築いた膨大な顧客とネットワークを武器に参入するのが、通信系と小売り・サービス系。一方、すでに企業向けなどで実績を積みさらなる事業拡大を狙っているのが新興・地域系。その中間がガス・ガソリン系といえる。大手電力系は、自由化をきっかけに東京電力のように戦略的な料金プランを新設定など、その変化が注目される。通信系は、通信料金の割引がセットなのでお得度もサービスも充実しており、電力会社や大手商社と提携し、供給エリアも広い。小売り・サービス系は、H.I.Sやローソンなどお馴染みの企業が揃っている。新興・地域系は、知名度は劣るが、すでに企業向け販売で実績があるところが多く、発電能力もあり、電気代にも強みを持つ。ガス・ガソリン系は、東京ガスやENEOSなど、全国的な知名度も抜群で、電気代よりも、セット割や多彩な割引サービスに強みがある。




ポイント2 電気代の差は殆どないので、「本業」でどれだけお得になるか

そもそも家庭向けの電力ビジネスは薄利多売であり、電気料金自体の値下げ余地はあまりない。大きな発電施設を持っている会社であれば、ある程度の値下げは可能だろうが、それ以外で他社と差別化するには、本業の割引を強化することになる。電気料金の割引をウリにしているところも、値下げの原資は本業の利益であるケースが殆んどである。結局のところ、家計の支出の内訳をよく分析し、支出が比較的多い項目で割引サービスを受けられる事業者を選べば、トータルで見てお得になる可能性が高い。

ポイント3 ライフスタイルに合った電力を選ぶ

電力選びは、クレジットカード選びに似ている。自宅や職場などの生活圏内にあり、身近に利用している店舗やサービスを提供している事業者があれば、そこの電力を使うことで、”お得の相乗効果”が生まれる。

乗り換えの注意点

乗り換えを焦らないこと。上のポイント2に書いたように薄利多売の世界。顧客にとっても、一時的に大きなメリットが出るものではなく、長期的に少しずつメリットが期待できる世界。自由化したらすぐに契約しないと損だと思う人もいるかもしれないが、それは間違い。ここは、吉田羊さんに「いくじなし!」と罵られても、じっと我慢も必要。4月以降は、各社の評判もわかってくるし、新たに参入する業者から魅力的なサービスが登場するかもしれない。様子を見るのも賢明な選択だ。また、携帯電話と同じように「2年縛り」のような条件を設定している場合もあるので、慎重な検討が必要だ。

電力自由化の問題点

話は変わるが、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの提供を前面に打ち出している事業者もあるが、いくつか問題があると考えている。一つは、その事業者がFIT電源(FITとは、Feed-in Tariffの略で、再生可能エネルギーによる電力供給を、20年間等の長期に「固定」した価格で、電力会社に買い取ることを政府が義務づける固定価格買取制度のこと。その費用は賦課金として電気料金に上乗せされ、一般家庭を含めた電力需要家が負担している)を買って、「エコ」とうたったプランを提供した場合、その事業者のエコプランの「付加価値」である再生可能エネルギーの導入にかかるコストは全需要家で負担しているのに、自社商品の謳い文句にして競争上の有利を得ることは不平等ではないのか、といった問題。 また、他にも問題はあるが、日を改める。

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