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エネルギー

新エネルギーとは何か?

投稿日:2016年4月27日 更新日:

新エネルギーとは?

英語に直訳すれば、'new energy'であろうが、そんな用語を使っても首をひねられてしまうだろう。
結論から言うと、新エネルギーという言葉は、実はほぼ日本独特の用語であり、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」で次のものが指定されている。

  • 太陽光発電
  • 太陽光熱利用(給湯、暖房、冷房その他の用途)
  • 風力発電
  • 雪氷熱利用
  • バイオマス発電
  • バイオマス熱利用
  • バイオマス燃料製造(アルコール燃料、バイオディーゼル、バイオガスなど)
  • 塩分濃度差発電
  • 温度差エネルギー
  • 地熱発電(バイナリ方式のものに限る)
  • 未利用水力を利用する水力発電(1,000kW以下のものに限る)

逆に言うと、これらのみが「新エネルギー」なのである。

そもそも、新エネルギーとはどういう意味なのか?

「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」いわゆる「新エネルギー法」が1997年に成立した。この法律の目的は第1条に次のようにある。

この法律は、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するため、新エネルギー利用等についての国民の努力を促すとともに、新エネルギー利用等を円滑に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。

そして、第2条において「新エネルギー」が「新エネルギー利用等」として次のように規定されている。

この法律において「新エネルギー利用等」とは、非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律 (昭和五十五年法律第七十一号)第二条 に規定する非化石エネルギー(以下この条において「非化石エネルギー」という。)を製造し、若しくは発生させ、又は利用すること及び電気を変換して得られる動力を利用することのうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、その促進を図ることが非化石エネルギーの導入を図るため特に必要なものとして政令で定めるものをいう。

「非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」第2条における非化石エネルギーの規定には、次のようにある。

この法律において「非化石エネルギー」とは、次に掲げるものをいう。
一  化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料(その製造に伴い副次的に得られるものであつて燃焼の用に供されるものを含む。)であつて経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の物であつて、燃焼の用に供されるもの
二  化石燃料を熱源とする熱以外の熱(前号に掲げる物の燃焼によるもの及び電気を変換して得られるものを除く。)
三  化石燃料を熱源とする熱を変換して得られる動力(以下「化石燃料に係る動力」という。)以外の動力(熱又は電気を変換して得られるものを除く。)
四  化石燃料に係る動力を変換して得られる電気以外の電気(動力を変換して得られるものを除く。)

すなわち、石油(枯渇エネルギー)代替の観点によるものであり、環境対策の観点は含まれていない。
対象としては、廃棄物発電、天然ガスコージェネレーション、燃料電池といった技術も含まれる。

しかし、2006年の経済産業省総合エネルギー調査会新エネルギー部会において、「新エネルギーと再生可能エネルギーの概念整理」が議論された。

第15回、第16回新エネルギー部会の議事録に詳しいので、ご興味のある方は是非、第15回議事録第16回議事録をご一読いただきたい。

その結果として、同年11月に公表された「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会中間報告」で以下のように整理された。少し長くなってしまうが重要なので引用する。

2.新エネルギーの概念の見直し

(1)新エネルギーと再生可能エネルギーの概念整理
以上、昨今のエネルギーを巡る構造的変化を踏まえれば、今後は、
ア) 再生可能エネルギーの導入拡大
イ) 革新的なエネルギー技術の開発・利用の促進
に対し、政策資源を重点的に投入すべきであると結論しうる。
このような方向性については、2002年に施行された「エネルギー政策基本法」においても、第3条において「太陽光、風力等の化石燃料以外のエネルギーの利用への転換及び化石燃料の効率的な利用を推進する」とあり、同法の趣旨にも合致する。
なお、再生可能エネルギーの導入拡大にあたっては、実用化レベルにあり、普及拡大の余地もありながら、経済的な面からの制約により普及が進んでおらず、また政策支援によりその制約を克服する見通しのあるものを政策対象とすべきである。
具体的には、例えば、大規模水力発電については、経済的に成り立っており、また、立地条件や周辺環境への影響といった観点から、今後の普及拡大の余地に乏しいことから、再生可能エネルギーではあっても、導入拡大のための支援策を重点的に講ずべきものではない。また、バイオ燃料については、例えば発電やボイラーにおける利用のような、化石燃料が利用されているような用途に代替される場合にあっては、支援対象とすべきであるが、伝統的な使用方法で用いられる場合は、支援対象とする必要がない。国際的にみても、先述のとおり、政策支援対象となる再生可能エネルギーは、大規模水力発電や伝統的なバイオマスを除いた、いわゆる「新しい再生可能エネルギー」(New Renewables)として扱われるのが通例である。
また、波力発電や海洋温度差発電等については、未だ実用化段階に至っていないことから、研究開発を行うべきものではあるが、導入拡大のための支援策を講ずべきものとは扱われない。
①現行の「新エネルギー」の概念

現行の新エネルギーは、1997年に施行された「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」において、「新エネルギー利用等」として規定されており、
ア)石油代替エネルギーを製造、発生、利用すること等のうち、
イ)経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ
ウ)石油代替エネルギーの促進に特に寄与するもの
として、我が国が積極的に導入促進を図るべき政策的支援対象と位置付けられている。
また、この「新エネルギー利用等」(以下「新エネルギー」という。)の具体的な対象となるものは、以下のとおりとなっている。
○供給サイドの新エネルギー
太陽光発電、風力発電、廃棄物発電、バイオマス発電、太陽熱利用、廃棄物熱利用、バイオマス熱利用、雪氷熱利用、海水熱・河川熱その他の水熱源利用、廃棄物燃料製造、バイオマス燃料製造
○需要サイドの新エネルギー
電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)、天然ガス自動車、メタノール自動車、天然ガスコージェネレーション、燃料電池
②新たな「新エネルギー」の概念

これまでの新エネルギー政策に代わる、新たな政策の基軸となるべき
ア)「新しい再生可能エネルギー」の導入拡大
イ)革新的なエネルギー技術の開発・利用の促進
について、現行の「新エネルギー」は、ア)については、新しい再生可能エネルギーについては、大半を包含しているが、中小規模の水力発電及び地熱は除外されている。また、他方で、廃プラスチックのような石油等の化石資源を出発原料として製造された製品の廃棄物(以下「化石原料由来廃棄物」という。)のような、再生可能エネルギーではないものが含まれている、また、イ)についても、電気自動車や燃料電池等、革新的な技術が含まれる一方で、ヒートポンプのような革新的技術が除外され、他方で、今日では最早、革新的技術とは言えないメタノール自動車が含まれている。
こうしたことから、現行の新エネルギー政策については、上記ア)及びイ)と合致するように、「新エネルギー」の概念の範囲を見直すことが望ましい。
この他、新エネルギーの概念の再整理に当たって、考慮すべき事項として、再生可能エネルギーに関する国際的な用語の使用との整合性がある。
国際機関や諸外国において、「再生可能エネルギー」とはエネルギーの供給サイドを意味するものであり、また一般的な用語の使用法としても、「エネルギー」とは供給サイドを意味するものである。しかし、現行の「新エネルギー」には、エネルギーの製造や利用といった、いわゆる「需要サイドの新エネルギー」が含まれている。このため、新エネルギーの概念の見直しに当たっては、一般的な用語の使用実態や国際的整合性に鑑み、供給サイドのみで整理することが望ましい。
以上を考慮した結果、「新エネルギー」の概念については、今後は、再生可能エネルギーのうち、その普及のために支援を必要とするものとして整理することが適切である。なお、化石原料由来廃棄物発電・熱利用については、石油代替エネルギーではあるが、化石原料由来廃棄物が再生可能エネルギーではないことから、「再生可能エネルギー」の一部として構成された、新たな「新エネルギー」の概念には含まれない。
すなわち、2001年新エネルギー部会において整理された「再生可能エネルギー(現行の供給サイドの新エネルギー+水力+地熱)」から、大規模水力発電及び化石原料由来廃棄物発電・燃料製造・熱利用を除いたものを、「新エネルギー」とする。

ただし、「新エネルギー」に含まれる具体的なエネルギー源については、 今後の普及状況によって支援を必要としなくなるものや、逆に研究開発段階から実用化段階に移行し、普及のための支援を行う必要が出てくるものもあるが、現時点においては、新エネルギーに該当するものとしては、以下のようなものが挙げられる。
中小規模水力発電、地熱発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電(バイオマス由来の廃棄物発電を含む。)、太陽熱利用、バイオマス熱利用(バイオマス由来廃棄物熱利用、黒液・廃材を含む。)、雪氷熱利用、海水熱・河川熱その他の水熱源利用、バイオマス燃料製造(バイオマス由来の廃棄物燃料製造を含む。)
なお、現行の供給サイドの「新エネルギー」の導入目標については、諸外国との導入目標の比較を容易にし、混乱を防ぐ観点から所要の見直しを行い、今後は、新たな「新エネルギー」に大規模水力発電を加えたものを「再生可能エネルギー」とし、「再生可能エネルギー」の導入目標を策定することとするのが適切である。

こうした流れの結果、現在のところ、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」の第1条において「新エネルギ利用等」は以下のように規定されている。

 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法 (以下「法」という。)第二条 の政令で定めるものは、次のとおりとする。
一  動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。次号及び第六号において「バイオマス」という。)を原材料とする燃料を製造すること。
二  バイオマス又はバイオマスを原材料とする燃料を熱を得ることに利用すること(第六号に掲げるものを除く。)。
三  太陽熱を給湯、暖房、冷房その他の用途に利用すること。
四  冷凍設備を用いて海水、河川水その他の水を熱源とする熱を利用すること。
五  雪又は氷(冷凍機器を用いて生産したものを除く。)を熱源とする熱を冷蔵、冷房その他の用途に利用すること。
六  バイオマス又はバイオマスを原材料とする燃料を発電に利用すること。
七  地熱を発電(アンモニア水、ペンタンその他の大気圧における沸点が百度未満の液体を利用する発電に限る。)に利用すること。
八  風力を発電に利用すること。
九  水力を発電(かんがい、利水、砂防その他の発電以外の用途に供される工作物に設置される出力が千キロワット以下である発電設備を利用する発電に限る。)に利用すること。
十  太陽電池を利用して電気を発生させること。

ザクッと言えば、大規模な水力発電を除いた再生可能エネルギーを新エネルギーと呼ぶこととしたのである。
お役所言葉だから仕方がないと言ってしまえばそれまでであるが、それにしても、新エネルギーという言葉はなくしてしまった方がすっきりしたような気もする。
ただし、「再生エネルギーとは何か?」で述べたように、「再生可能エネルギー」という言葉も誤訳に近いので、この世界、本当に注意が必要である。

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