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2018年度東京都予算案の不可解なロジック

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Yuriko-Koike

都予算案、多摩・島嶼部振興へ550億円 市町村総合交付金を拡充

今日の新聞報道によれば、地方消費税の減収見込みを考慮して東京都の予算案に多摩・島嶼部振興へ550億円の市町村総合交付金を拡充する方針を固めたとのこと。

小池百合子知事は12日、多摩地域や島嶼(とうしょ)部振興のため都内の市町村に財政支援を行う「市町村総合交付金」を拡充して平成30年度予算案に550億円(前年度比50億円増)計上する方針を固めた。都予算での同交付金は過去最高額。小池氏は報道陣に「多摩・島嶼振興を後押しするため必要な額を積み重ねた」と意義を強調した。
【出典】産経ニュース(2018.1.13 07:00)

この予算案に正面から異を唱えるわけではないが、何か引っかかるものを感じる。 そもそも、自民・公明両党が決定した2018年度与党税制改正大綱で地方消費税を都道府県が分け合う清算基準を見直し、都が約1千億円の減収になる見込みとなった。 これを受けて、小池都知事は2017年12月15日の定例会見で、

「十分な説明も、明確な根拠もなく制度の趣旨がゆがめられた。その結果、都民生活を脅かされる不合理な見直しが強行された」と改めて批判した。小池氏はこれまでも、与党方針に反発し、国会議員に働きかけをしてきた。  
両党が14日に決定した大綱では、「地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置」にも言及した。31年度改正で結論を出す方針で、都はさらに財源を奪われる可能性が高くなっている。  
このため、小池氏は会見で「国が言う税源の偏在は地方交付税で調整済みだ」と主張。「必要なのは国から地方への税源移譲を含めて、地方の役割に見合った地方税の財源拡充をはかることだ」と不満をあらわにした。
【出典】産経ニュース(2017.12.16 07:02)

「都道府県に割り当てる地方消費税について、地方に手厚いかたちで配分を見直す方向」が自民・公明によって決められた。一方、東京都では、

都に配分された地方消費税の半額は区市町村に渡る仕組みで、地方消費税の減収は都内の自治体にも影響が大きい。このため、市町村財政を懸念した都議会公明党が、知事への予算要望で同交付金を新年度予算で100億円程度拡充するよう求めていた。
【出典】産経ニュース(2018.1.13 07:00)

公明党の考えは、ロジカルではある。国でも東京都でも、とにかく都会ではなく地方に税金をばら撒きたいようだ。 しかし、小池都知事はその考えに反対したのではなかったのか。 もう少し深く考えなければいけない問題なのかもしれないのだろう。 しかし、新聞紙面をざっと読んだ時に何か不可解なものを感じた次第。

と、ここで投稿しようと思ったのだが、もしかしたら公明党が都市部よりも地方の得票率の方が高いといったような実は隠れた理由があるのだろうかと、ふと思い、調べるうちに面白い記事を見つけた。 アゴラ編集長の新田哲史氏が昨年の総選挙前、2017年09月23日に発信した「ど~する公明党?“牙城”八王子(東京24区)の動向が試金石」という記事である。 以下引用させて頂く。

そして、この地は創価大学があることからも分かるように学会の“金城湯池”。選挙取材では、学会関係者との情報交換も不可欠だった。八王子を離れて10年以上経ち、生の情報には疎くなったものの、「元市民」としては八王子の選挙を論じた記事にはついついうるさくなってしまう(笑)。

意外に“スイングステート”な八王子だが、図抜けた創価学会のプレゼンス

都心の人からすると、八王子といえば高尾山に代表される自然が豊かで地方色が強く、いかにも自民党が選挙に強そうなイメージがある。確かに市議選や都議選では自民系は伝統的に強固な地盤であるのだが、小選挙区制導入後の6度の選挙で民主党候補が2度勝ち、2003年には比例復活も果たしている。特に2005年から12年にかけての3度の選挙では、萩生田氏と阿久津氏の当選が入れ替わっており、2005年以降の都議選の当選圏内に入る政党も、自民、民主、みんなの党、都民ファーストの会など顔ぶれはよく変わる。アメリカ大統領選風にいえば“スイングステート”(接戦州)の傾向があるのだ。

八王子

23区の大部分に匹敵する広大な八王子市(市サイトより引用)

というのも、八王子は多摩地区最大の人口57万を擁し、いかにも保守地盤という趣の農業地帯や商店街もあれば、多摩市や町田市に隣接した南部の多摩ニュータウンは新住民が多い。当時、萩生田氏に取材したとき「場所によって演説の内容を変えている」と苦心していたのを思い出すが、地域性も多様な分、北部では地域経済振興に関心があるが、南部は待機児童対策を訴える子育て世帯が多いといった具合に政策ニーズも変わる。それでいて都内の区市町村で2番目に広大なエリアとあって、衆院選や都議選クラスの選挙を戦う場所としては「勝利の方程式」を編み出しにくい地域ともいえる。

しかし、その中でも公明党の存在感は図抜けている。都議選では東村邦浩氏(現都議会公明党幹事長)が2005年以降の4度の選挙で3度トップ当選。この夏の選挙も都ファが2人擁立したとはいえ、首位の座は譲らなかった。衆院比例選(2014年)の党派別得票数では3番目の42,396票で、2位の民主党に2400票差に迫る勢い。ちなみに世田谷区(東京6区)の比例公明票は、同じ選挙で自民、民主、維新に次ぐ4番手であったことからも分かるように、公明・学会の強さがほかより際立つのが八王子の特徴なのだ(多摩地区はもともと公明票は手堅い)。当然、市内で4万票程度を擁する彼らの動向が総選挙の結果に影響してくる。

少なくとも東京都における公明党の動きについては納得した。

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